【SPN】労働行政対応の実務

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【SPN】労働行政対応の実務
【SPN】労働行政対応の実務

「令和4 年度 労働行政対応の実務」

~「令和4 年度労働行政運営方針」から読み解く企業の対応~

厚生労働省は、令和 4 年 4 月 1 日付で 「令和 4 年度地方労働行政運営方針」 を発表しました。「地方労働行政運営方針」とは、その年度の労働行政の重点課題を示したものです。各都道府県労働局においては、厚生労働省の運営方針を踏まえつつ、各局内の管内事情に即した課題や対応方針などを盛り込んだ独自の方針を策定し、計画的 な行政運営を図ることとしています。つまり、 今年度、行政がどんな課題を重視し、重点的に取り組むのかが、この方針で明らかにされている のです。
労働基準監督署など定期監督を実施する組織では、定期監督は「労働行政運営方針」に沿って行われる調査となります。従って、 地方労働行政運営方針を読むと、今年度の労働基準監督署等による監督・指導方針がわかります。 今月は、「令和 4 年度地方労働行政運営方針」のポイントについて解説したいと思います。自社の今年度の労働行政に係る注意点についてご理解ください。

1.令和 4 年度労働行政を 取り巻く情勢

厚生労働省が公開した「令和4 年度地方 労働行政運営方針 」 では、 第 1 に「労働行政を取り巻く情勢」として、現下の労働行政の課題を以下のようにあげています。
現下の労働行政の最大の課題は、 長期化する新型コロナウイルス感染症への対応 であるが、また同時に、少子高齢化・生産年齢人口の減少という我が国の構造的な課題がある中で、国民一人ひとりが豊かで生き生きと暮らせる社会を作るためには、 成長と分配の好循環による持続可能な経済社会の実現が不可欠 である。そのためには、 労働生産性と労働分配率の一層の向上が必要であり、人材ニーズに柔軟に対応した人材開発、成長分野への労働移動の円滑化支援といった 「人への投資」や、賃上げしやすい環境整備などに取り組むことが重要 である。
成長と分配の好循環による「新しい資本主義」の実現のためにも、労働行政が果たすべき役割は大きい。このことをしっかりと自覚し、 各施策を適正かつ迅速に推進していく。具体的に掲げられた 項目 に係る施策 に関するポイントは以下の通り 。
(1) 雇用維持 ・労働移動等に向けた支援やデジタル化への対応
(2) 多様な人材の活躍支援
(3) 誰もが働きや すい職場づくり

2.「令和 4 年度労働行政運営方針主な重点施策」~指導監督のポイント~

(1)女性活躍・男性の育児休業取得等の促進

◆男性が育児休業を取得しやすい環境の整備に向けた企業の取り組み支援

①育児・介護休業法の周知及び履行確保
産後パパ育休制度(出生時育児休業制度)の創設や、育児休業を取得しやすい 雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け等を内容とする育児・介護休業法の改正について労使に十分に理解されるよう周知に取り組み、施行後は着実な履行確保を図る。あわせて、労働者の権利侵害が疑われる事案や育 児休業の取得等を理由とする不利益 取扱いが疑われる事案を把握した場合には、事業主に対する積極的な 報告徴収 ・是正指導等を行う。

※報告の徴収とは?
「報告の徴収」とは、 法令等の目的を達成するため、必要な事項について、事業主から報告を求めることで、行政による法の履行確保のために実施する行政指導となります。
【参考:男女雇用機会均等法等に基づく報告徴収】 ※都道府県労働局雇用均等室による調査と是正です。
・調査名称 「男女雇用機会均等法等に基づく報告の徴収」など
・調査頻度 所管する労働局の管轄する事業所数により異なるが概ね5年に1回程度
・調査   対象事業者 一定規模(50人以上)
・調査時間 1~2時間程度

②男女とも仕事と育児を両立しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援
産後パパ育休育休制度のほか、「パパ・ママ育休プラス」や「育児目的休暇」等の男性の育児に資する制度について、あらゆる機会を捉えて周知を行う。

③次世代育成支援対策の推進
次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づく一般事業主 行動計画の策定等については、各企業の実態に即した計画の策定を支 援するとともに、労働者数 101 人以上の義務企業の届出等の徹底を図る。

◆女性活躍推進のための行動計画に基づく企業の取組支援

令和 4 年 4 月 1 日より 、改正女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定や情報公表の義務が常用労働者数 101 人以上の事業主に拡大 されたため、新たに義務化される事業主も含め、行動計画の策定・届出・情報公表が確実に 行われるよう、 報告徴収 等の実施により、法の着実な履行確保を図る。また、「女性の活躍推進企業データベース」への登録を促す。

(2)非正規雇用労働者等へのマッチングやステップアップ 支援

「パートタイム・有期雇用労働法」が令和 3 年 4 月 1 日より中小企業等にも適用 されており、引き続き雇用形態に関わらない公正な待遇の確保(同一労働同一賃金)に向けて、非正規雇用労働者の処遇改善や人事評価制度等の整備、正社員転換を強力に推し進めていく 必要がある。また、 労働者派遣法の一部改正部分についても令和 2 年 4 月 1 日に施行 されており、引き続き、法の履行確保に向けて取り組む必要がある。

◆同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等

① 雇用形態に関わらない公正な待遇の確保、非正規雇用労働者の正社員 化・処遇改善を行う企業への支援パートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法に基づく 報告徴収、指導監督等 を実施することにより、法の着実な履行確保を図る。非正規雇用労働者の正社員化(紹介予定派遣を通じた正社員化も含む)や処遇改善に取り組んだ事業主に対して、キャリアアップ助成金による支援を行う。

② 無期転換ルールの円滑な運用
無期転換ルールを 認知していない企業や労働者が 一定数存在することを踏まえて、無期転換ルールの円滑な運用のための周知徹底等を行う。

◆求職者支援制度による再就職支援

新型コロナウイルス感染症の影響により、やむを得ず離職した方の再就職を促進するため、就職に必要な技能及び知識を習得するための求職者支援制度の積極的な周知・広報により制度の活用を推進する。

◆離職者を試行雇用する事業主への支援

新型コロナウイルス感染症の影響を受けている離職者であって、就労経験のない職業に就くことを希望する者の安定的な早期再就職支援を図るため、一定期間試行雇用する事業主に対して、試行雇用期間中の賃金
の一部を助成する(トライアル雇用助成金)

(3)高齢者の就労・社会参加の促進

令和 2 年 に改正され た高年齢者等の雇用の安定等に関する法律 により、 65 歳から 70 歳までの就業確保措置を講じることが事業主の努力義務となったことから、事業主の取組の促進を図ることが重要である。さらに、高年齢者雇用に積極的に取り組む企業への支援や、 65 歳を超えても働くことを希望する高年齢求職者に対する再就職支援等が必要であるとの課題があげられている。

◆70 歳までの就業機会確保等に向けた 環境整備や高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援

65 歳を超える定年引上げや継続雇用制度の導入等に向けた意識啓発・機運醸成を図るほか、 60 歳か ら 64歳までの高年齢労働者の処遇改善を行う企業への支援(高年齢労働者処遇改善促進助成金)を行う。

(4)安全で健康に働くことができる環境づくり

◆長時間労働の抑制

① 生産性を高めながら労働時間の削減等に取り組む事業者等の支援
全ての監督署に編成した「労働時間改善指導・援助チーム」のうち「労働時間相談・支援班」において、説明会の開催や中小規模の事業場への個別訪問により、平成 31 年 4 月 1 日から順次施行された改正労働基準法等の周知や、テレワーク等の新しい働き方に対応した適切な労務管理の支援等を中心としたきめ 細かな相談・支援等を 行う 。

② 自動車運送、建設業、情報サービス業における勤務環境の改善
情報サービス業(IT業界)については、地域レベルで発注者・受注者等が連携しながら働き方改革を推進するモデルを形成し、その過程や成果を他の地域等に周知、展開するなど、長時間労働の抑制に向けた取組を行う。

③ 勤務間インターバル 制度の導入促進
勤務間インターバル制度について、導入マニュアルや中小企業が活躍できる働き方改革推進支援助成金を活用して、長時間労働が懸念される企業等への導入促進を図る。

④ 長時間労働の抑制に向けた監督指導体制 の強化等
長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が 1 か月中 80 時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施 する。

⑤ 年次有給休暇の取得促進等による休み方改革の推進
年次有給休暇の取得促進に向けて、年次有給休暇の時季指定義務の 周知徹底や、時間単位年次有給休暇の導入促進を行うとともに、 10 月の「年次有給休暇取得促進期間」や、年次有給休暇を取得しやすい時季に集中的な広報を 行う。

◆法定労働条件の 確保等並びに労働者が安全で健康に働くことができる環境の整備

①法定労働条件の確保等
事業場における基本的な労働条件の枠組み及び管理体制の確立を図らせ、これを定着させることが重要であり、労働基準関係法令の遵守の徹底を図るとともに、 重大・悪質な事案に対しては、司法処分も含め厳正に対処する。労働局及び監督署において も、最低賃金・賃金支払いの徹底と賃金引上げに向けた環境整備等の取組みを行うと主に、労使において賃金の引上げを行うとの取決めを行ったにもかかわらず、度重なる指導にも かかわらず、法違反を是正しない事業場、法違反を繰り返す事業場など悪質性が認められる者に対しては、司法処分も含め厳正に対処する。
更に、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の周知を徹底し、監督指導において同ガイドラインに基づいて労働時間管理が行われているかを確認し、 賃金不払い残業等が認められた場合には、その是正を指導 する。

②産業保健活動、メンタルヘルス対策の推進
長時間労働やメンタルヘルス不調などにより、健康リスクが高い状況にある労働者を見逃さ ないようにするため、長時間労働者に対する医師の面接指導やストレスチェック対策などの取組が各事業場で適切に実施されるよう、引き続き指導等を行う。

◆総合的なハラスメント対策の推進

①職場におけるハラスメント等に関する雇用管理上の防止措置義務の履行確保
令和 4 年 4 月 1 日より 、中小企業においてもパワーハラスメント防止措置が義務化されたことを踏まえ、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント等 職場におけるハラスメント防止措置を講じていない事業主に対し厳正な指導を実施する こと等により法の履行確保を図る。

② 就職活動中の学生等に対するハラスメント対策等の推進
就職活動中の学生等に対するハラスメントについては、事業主に対して、ハラスメント防止指針に基づく「望ましい取組」の周知徹底を図り、自主的な取組を促す。

③職場におけるハラスメント等への周知啓発の実施及びカスタマーハラスメント対策等の推進職場におけるハラスメントの撲滅に向け、 12 月の「ハラスメント撲滅月間」を活用し、事業主等への周知啓発を実施する。

Back Number⇒【Sunpla Partners News ~2022年5月号 1/2~】

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