【SPN】控訴審判決|偽装請負を理由に派遣労働者との労働契約が成立?!

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【SPN】控訴審判決|偽装請負を理由に派遣労働者との労働契約が成立?!
【SPN】控訴審判決|偽装請負を理由に派遣労働者との労働契約が成立?!

偽装請負を理由に派遣先・派遣労働者間の労働契約成立が認められた控訴審判決

違法な「偽装請負」の労働者を受入れていた企業に、それらの労働者を直接雇用するよう実質的に強制する判決が 2021 年 11 月に大阪高裁で出されました。 これは、労働者派遣法第 40 条の 6 に関する事件(東リ事件)です。同条は、労働契約申込みみなし制度と呼ばれ、平成 24 年の 改正派遣法により新設され、平成 27 年 10 月1 日より施行されました。東リ側は判決を不服とし最高裁に上告受理を申し立てましたが、今月は、この大阪高裁の判決が、今後、実務に」どのように影響するかについて検討してみたいと思います。

本事件の第一審判決(神戸地裁)は、派遣法 40 条の 6 の適用の可否が争われた初めての裁判例として注目されていましたが、同判決は、結論としては偽装請負等の状態にあったとはいえないと判断したため、労働契約申込みみなし制度(法 40 条の 6 )に関する解釈論は展開されませんでした。しかし、 控訴審判決 (大阪高裁 では、一転して 40 条の 6 の適用を認めた もので 、偽装請負等に該当する要件や承諾の 効果等に関し詳細な判例が示されており、実務上参考にすべき点が多い事案です。

■偽装請負とは

偽装請負とは、実質的には労働者派遣や雇用関係であるにもかかわらず「請負契約」であると偽装して労働者保護のさまざまな法規制を逃れようとする違法行為です。自社内にエンジニアを受け入れる際などに「雇用」や「派遣」とせずに「業務委託契約」と称して偽装請負するケースが典型例です。

■労働契約申込みみなし制度(労働者派遣法第 40 条の 6) とは

違法派遣を 是正し、派遣労働者の希望を踏まえつつ雇用の安定を図ることができるようにため 、違法派遣を受け入れた者(派遣先)に対する民事的制裁として、違法派遣を行った時点において「派遣先」が派遣労働者に対して労働契約の申込みをしたものとみなす制度で す。
労働契約申込みみなし制度が適用になった場合、違法状態が発生した時点より、派遣先が派遣労働者に対して、直接雇用の申込みをしたものとみなされ、みなされた日から 1 年以内に派遣労働者が申込みを承諾すれば、派遣先は必ず派遣元の労働条件と同じ条件で雇用する義務が発生 もので、実質的に「強制雇用」の効力を持つ制裁といえる制度です。 ただ、この制裁に関し「派遣先や 請負先企業が違法派遣に該当することを知らず、知らなかったことに過失がない場合(善意無過失の場合)は適用除外となる になる」との規定があります。偽装請負の場合は、適用のハードルがさらに高く、受入れ企業が「法律の適用を免れる目的」を持つことも必要となります。

■今回の裁判の争点

今回の裁判では東リ側に、この「偽装請負 で法適用を逃れる目的があったか」が争点となりました。大阪高裁判決は「日常かつ継続的に偽装請負等の状態を続けていたことが認められる場合」は、特段の事情がない限り「組織的に偽装請負等の目的で役務の提供を 受けていたと推認する」と基準を示し、労働者側の主張を認めました。

■裁判以外に「みなし制度」が適用される道筋

厚生労働省によると、「労働契約申込みみなし制度」が導入された 2015 年 10 月以降の 3 年間で、各地の労働局が同制度について実施した指導は 458 件にのぼります。そのうち 22 件で、関係労働者が派遣先や 業務委託先で直接雇用に移行しました。指導のきっかけは、「労働局の総合労働相談コーナーでの相談や労働者自身の申告、警察からの情報など」で事案を把握することが多いようです。

■判例が増えることでみなし制度の制裁対象の線引きが進む

行政側も、労働契約申込みみなし制度に関しては、調査段階で関係者の証言を細く集めて検討するなど、事前確認に神経を使うため、実際に適用された事案が少なく抑えられています。しかし、今後、 関連の裁判事例が増え、事例ごとに、みなし制度の適用可否が明らかになっていくことで、どんな場合が制裁対象となるかの線引きがはっきりしていくとみられます。
この制度が存在する以上、外部の労働力を受け入れる機会が多い製造業やサービス業などを中心に、違法派遣とならないように注意が必要です。

Back Number⇒【Sunpla Partners News ~2022年5月号 1/2~】

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